ここでは、手形の不渡りに相当するでんさいでの支払不能が起きた時の対処法について解説しています。
でんさいで支払期限までに口座間による決済、及び支払がされなかった場合は、手形の不渡りに相当する「支払不能」が発生し、債務者には支払不能処分が科されることになります。
最初に支払不能が起きると、その旨および事由がすべての参加金融機関に通知されます。そして、同じ債務者が6か月以内に2回目の支払不能を起こすと、全参加金融機関に通知される上に、債務者に取引停止処分というペナルティーが科されます。
債務者にこの取引停止処分が適用されると、債務者としてのでんさいネットの利用や参加金融機関との間の貸出取引が2年間禁止となります。
ただし、債権者の同意を得て口座間送金決済を中止した場合や、債務者や債権者が破産手続きの開始などを受けた場合は、支払不能処分の対象とはなりません。
また、債権者の契約不履行があるなど、でんさいの支払を中止する正当な理由がある場合は、異議申立により取引停止処分の猶予を受けることができます。
なお、でんさいの支払不能処分制度は、手形の不渡り処分制度とは別なので合算されるということはありません。
債権者として、でんさいの支払不能が発生した場合は、どのように対応すればよいかを説明しましょう。
支払い期日に決済口座に入金がなかった場合は、支払不能通知を待つことなく、債権者はその時点で債務者、または保証人に請求することができます。
請求方法については、法により定められたものはありませんので、売掛金が支払遅延になった場合と同じと考えてよいでしょう。
請求時の証拠書類としては、支払期日の3営業日後に金融機関から出される支払不能通知や支払不能でんさいの開示請求による、表示画面を印刷したものが使えます。
手形の手形訴訟に相当する制度は、電子記録債権法では定められていないため、訴訟請求を行う場合は、通常の民事訴訟の手続きに従うことになります。
なお、電子記録債権法では、電子記録債権の消滅時効は3年と定められていますので、でんさいも同じです。保証人に対する権利の時効期間は定められていないので、主債務者と同じ3年間となります。
もし、支払期日経過後に支払不能でんさいの弁済を受けた場合は、法的にはでんさいは消滅しますが、電子記録としては支払等記録を行う必要があります。
支払等記録は、債権者が請求する方法と、債務者など支払いをした人が債権者の同意を得て請求する方法の2通りがあります。
支払等記録を行わなくても弁済は有効ですが、行わないでいると、でんさいの残高証明書に残高が表示されてしまうので注意が必要です。