電子登録債権で取り扱う電子手形とよく似ているように見えるサービスとしてファクタリングがあります。これは売掛債権買取業務のことなのですが、違いや共通点はどこにあるのでしょうか。
まず、使いやすさの違いが挙げられます。使いやすさの点で言うと電子手形のほうが上だといえるでしょう。 銀行などが提供しているシステムででんさいネットにアクセスすることにより取引先が増えた際にも新たな契約をすることなく、でんさいネットの利用ができるのが魅力です。
電子手形を取り扱う電子登録債権は、通称でんさいネットと呼ばれる株式会社全銀電子債権ネットワークが上を行っています。 そもそもでんさいネットは全国銀行協会が出資して設立されました。その関係もあり、取引にもこれまで使われてきた銀行間の決済システムが取り入れられているのです。
ファクタリングの場合はどうなのかというと、ファクタリング業者を通じて取引を行わなければなりません。そのため、取引先が増えた際には新たな契約を締結しなければならないのです。
ここから考えても、取引先が増える機会が多い場合は電子手形の方が利用しやすいでしょう。
それぞれ同じ種類の債権だと思っている方もいるかもしれませんが、でんさいの場合は電子登録債権、ファクタリングの場合は売掛債権となっており、そもそもの債権の種類が異なります。
このうち、昔からあるのは売掛債権ですよね。そのため、売掛債権しか取り扱ったことがない方にとっては、電子登録債権は何となく未知のもののようなイメージもあるかもしれません。しかし、近年はもともとファクタリングを利用している企業が電子手形に切り替えるところも増えてきました。
電子登録債権は取引をよりスムーズに、便利に行うために作られた新しい債権です。銀行のネットワークが開発に携わっていることからもわかる通り、信頼性は非常に高いといえるでしょう。
ただ、現在ではまだ売掛債権が中心となっているため、電子登録債権を取り入れていない企業はでんさいでの資金化ができず、利用は出来ません。しかし、今後はますます、電子登録債権を取り入れる方が増えていくはずです。
ファクタリングの方が優れている点もあります。それは債権の保証に関することです。ファクタリングの場合、現金を受け取った時点でその会社との取引は終了することになります。
もし、ファクタリング後に手形を発行している会社が倒産した場合、銀行に支払いを行う必要はないのです。一方、電子手形の場合は、手形を発行した会社が倒産したなどの理由で支払いを行わなくなった場合でも銀行に支払いをする義務があります。
この点は十分に理解しておきましょう。
ただ、電子登録債権でも全く対策を取っていないわけではありません。近年は、銀行側で早期にでんさいを買い取る「でんさいファクタリング」というサービスが提供されているのです。
このサービスにより、ファクタリングと同じように売掛先の会社が倒産してしまったとしても利用会社側が返済義務を負うことはありません。
どちらを利用した場合でもメリットやデメリットがあります。電子登録債権の方が利用しやすい企業もあれば、ファクタリングの方が向いている企業もあるでしょう。
しかし、今後は大手企業を中心に電子登録債権の利用数が増えると予想されています。これは電子登録債権を取り入れる大手企業と取引のある企業も続々と電子登録債権の導入をする結果に繋がるでしょう。
これまでファクタリングを利用していた方も、話題のサービスである電子登録債権についてチェックしてみてくださいね。