電子記録債権を導入する際に気になるのが、会計処理に関することです。具体例についていくつかご紹介しましょう。
例えば、支払いを電子記録債権で行う場合、次のような仕訳になります。買掛債務10,000円を電子記録債権で支払った場合は(借)買掛金…10,000、(貸)電子記録債務…10,000とします。
反対に売掛債権10,000円を電子記録債権で受け取った場合、(借)電子記録債権…10,000、(貸)売掛金…10,000です。このあたりはわかりやすいでしょう。
電子記録債権を使った場合、譲渡が可能となっています。ただし、手形とは異なるので裏書や割引といった書き方はしません。
譲渡する際にはでんさいネットに対して債権者が譲渡することを通知する譲渡記録の通知があります。
受け取った電子記録債権を買掛金と引き換えに譲渡する場合、(借)買掛金…10,000、(貸)電子記録債権…10,000となります。
受け取った電子記録債権のうち、現金9,000円を受け取って譲渡した場合、(借)は現金…9,000、電子記録債権売却損…1,000となり、(貸)は電子記録債権10,000となるのでチェックしておきましょう。
反対に当初の債権者が同じく現金と引き換えに電子記録債権の譲渡を行った場合、仕訳はありません。
これまで仕訳をしていた方からすると、この項目で電子記録債権の大きな魅力を感じるでしょう。手形の場合は一枚の手形を受け取ったとしてもその一部のみの裏書はできませんよね。
ですが、電子記録債権の場合は例としてご紹介したように10,000円のうちの一部のみを分割して裏書や割引ができるのです。
しかも分割に関する金額の決まりはなく、1円単位で自由に分割できるのも大きな魅力だと言えます。これまで、一部のみ裏書きできないことに対して不満を感じていた方にも電子記録債権が向いているといえるでしょう。
支払い期日到来に関する仕訳についてご紹介します。こちらは電子記録債権で支払いを行う場合、(借)電子記録債務…10,000、(貸)現金…10,000となります。反対に電子記録債権で受け取る場合は(借)現金…10,000、(貸)電子記録債権…10,000としましょう。
電子記録債権を利用する場合、これまでの受取手形や支払手形とは会計処理が異なります。受取手形については電子記録債権、支払手形については電子記録債務となるのです。
この会計処理については平成21年4月に企業会計基準委員会から「電子記録債権に係る会計処理及び表示についての実務上の取扱い」という指針が発表されているのでそちらも参考にしてみてくださいね。
これまでと異なる会計処理をしなければならないことから、導入を迷っている方もいるかもしれません。ただ、実際に仕訳をしてみると難しいものではないので、それほど気にする必要はないでしょう。ただ、これまで長年行ってきた会計処理の方法を変更するとなると思わぬミスが発生する可能性もあるので、はじめのうちは慎重に仕訳を行う必要があります。
これからでんさいを導入しようと思っているのであれば、しっかり時間をかけて新しい仕訳についてチェックしてみてくださいね。
また、会計ソフトウェアを使って行えば面倒な仕訳も簡単に済ませることができます。その際には、でんさいに対応している会計ソフトウェアを選択しなければならないので注意しておいてくださいね。
すべての会計ソフトウェアがでんさいでの仕訳に対応しているわけではありません。
それから、電子記録債権を取り入れる企業が増えてきたこともあり、公認会計士や税理士も電子記録債権の取引について十分に理解しています。
自分の仕訳が正しいかどうか悩んだ場合には公認会計士や税理士に確認してもらうのも良いでしょう。